車を売ると決めたとき、車内の片づけや書類の準備に気を取られて、タイヤまで見ないまま査定日を迎える方は少なくありません。けれどタイヤは、査定士がほぼ必ず目を通す部分のひとつです。この記事では、売る前に自分で確認できる残り溝・ひび割れ・偏摩耗の見方と、タイヤの状態が査定でどう扱われるのか、交換すべきかどうかの考え方までを、初めて車を売る方に向けて整理します。
車を売る前にタイヤを見ておきたい理由
査定というと、外装の傷や内装のきれいさ、走行距離や修復歴といった大きな項目に目が向きがちです。ただタイヤは、四本が同じように減るとは限らず、車ごとに状態が分かれやすい部分です。買い取った側は次に販売する前提で整備の内容を考えるため、溝が浅ければ交換する費用を見込んだうえで金額を組み立てることになります。
もうひとつは安全の話です。査定を受けるために店舗まで自走する場合も、出張査定で短い距離を走ってもらう場合も、傷んだタイヤのままでは走ること自体にリスクがあります。売る前にやっておきたいこと全体の流れは車を売る前の準備|査定前にやっておきたいことリストにまとめているので、あわせて確認してみてください。
タイヤの残り溝は「1.6mm以上」が法律上の下限
国土交通省が公開している「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第89条では、自動車の空気入ゴムタイヤについて、接地部の全幅にわたり滑り止めのために施されている凹部が、どの部分においても1.6mm以上(二輪自動車および側車付二輪自動車に備えるものは0.8mm以上)の深さを有することとされています。なお、最高速度40km/h未満の自動車や大型特殊自動車などに備えるものは、この溝の規定から除かれています。
言いかえると、この深さを下回ったタイヤは、そのままでは車検に通らない状態です。売却が決まっていても、引き渡しまで公道を走る以上は同じ基準が関わってきます。
スリップサインは「ウエア・インジケータ」のこと
同じ告示には、滑り止めの溝の深さについての判定はウエア・インジケータにより判定しても差し支えない、と書かれています。ウエア・インジケータはふだんスリップサインと呼ばれているもので、溝の底に設けられた盛り上がりのことです。タイヤの側面にある三角の目印をたどると、その延長線上の溝の中に見つけられます。
盛り上がりがタイヤの接地面と同じ高さまで出ていれば、その部分は使用の限度に達したサインです。四本すべて、そして一本のタイヤの中でも数か所を見てください。中央だけ、あるいは端だけが先に限度に達していることもあります。
溝が浅いと査定ではどう扱われるのか
溝が限度に近い、あるいは超えている場合、買い取った側は販売前にタイヤを交換する前提で見積もることになります。そのぶんが評価に反映されることはありますが、どの程度かは車種やタイヤのサイズ、そのときの在庫や相場の状況で変わり、一律ではありません。
※金額は一般的な目安です。実際の査定額は車種・年式・走行距離・時期・業者により異なります。
ひび割れ・偏摩耗・空気圧もあわせて確認する
先ほどの第89条では、溝の深さのほかに「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること」「タイヤの空気圧が適正であること」も基準として挙げられています。溝が十分に残っていても、これらに当てはまるなら手当てが必要な状態です。
ひび割れ(クラック)
ゴムは時間の経過とともに硬くなり、側面や溝の底に細かい割れが出てきます。走行距離が少ない車でも、年数が経てば起こることです。表面の浅いものからコードが見えるほど深いものまで幅があるので、明るい場所でハンドルを左右に切り、タイヤの側面を正面から見て確認してください。
偏摩耗
内側だけ、外側だけ、あるいは中央だけが減っている状態を偏摩耗といいます。空気圧の過不足やアライメントのずれが背景にあることが多く、タイヤそのものだけでなく足回りの状態を疑うきっかけにもなります。手のひらで接地面をなでると、段差やギザギザとして触りわけられることがあります。
装備やオプションが査定でどう見られるのかについては、ボディコーティングやメーカーオプションは車の査定で評価される?伝え方のコツもあわせてどうぞ。
売る前にタイヤを交換したほうがいいのか
結論からいえば、売るためだけに新品へ交換するのは、多くの場合すすめにくい選択です。交換にかかった費用がそのまま評価に上乗せされるとは限らず、結果として持ち出しが増えることがあるためです。
一方で、使用の限度を超えている、ひび割れが深い、空気が目に見えて減っているといった状態なら、査定の前に対処が必要です。この場合の目的は評価を上げることではなく、安全に走れる状態にすることです。判断に迷うときは、行きつけの整備工場やタイヤ販売店で見てもらい、そのうえで売却の相談に進むと話が早くなります。
冬タイヤを履いたまま査定に出すとき
冬タイヤには、溝の深さが新品時の50%まで減ったことを示す「プラットホーム」という表示があります。国土交通省は大型車の運送事業者に向けた注意喚起として、積雪・凍結道路を走る前にプラットホームで溝深さが新品時の50%以上あることを確認するよう呼びかけています(一部海外メーカー品を除く)。乗用車の冬タイヤでも、冬用としての性能がどのあたりまで保たれているかを知る手がかりになります。
履き替え用のタイヤやホイールが手元にある場合は、車と一緒に引き取ってもらうかどうかという話も出てきます。この点は冬タイヤ・ホイールは車と一緒に売るべき?付属品の扱いと査定への伝え方で詳しく触れています。
査定のときにどう伝えればいい?
見つけた状態は、隠さずそのまま伝えるのが結局は近道です。タイヤは査定士が見る前提の部分なので、黙っていても分かります。むしろ「前輪だけ去年替えました」「内側の減り方が気になっています」と先に言っておくほうが、確認がスムーズに進みます。
交換した時期や銘柄が分かるなら、レシートやメモを用意しておくと話が具体的になります。分からなければ無理に調べなくても構いません。分からないことを分からないと伝えるのも、正確な情報を渡すということです。
よくある質問
四本とも同じ銘柄でないと不利になりますか?
前後で銘柄が違うこと自体は珍しくありません。評価に影響するかどうか、どの程度かは業者によって判断が分かれるため、一概にはいえません。気になる場合は、そのまま伝えたうえで確認してみてください。
溝が限度を超えていても査定は受けられますか?
受けられるかどうかは業者や査定の方法によります。ただし、公道を走れない状態のまま自走で持ち込むことはできません。出張査定を選ぶ、積載車での引き取りに対応しているか事前に確認するなど、先に相談しておくと安心です。
タイヤだけ外して手元に残すことはできますか?
車から外すこと自体は可能ですが、その場合は代わりのタイヤとホイールを装着する必要があります。手間と費用、そして付け替えた側の状態が評価にどう関わるかを考えると、慎重に判断したいところです。外す予定があるなら、査定の申し込みの段階で伝えておきましょう。
空気圧は査定の前に調整しておくべきですか?
空気圧が適正であることは保安基準にも挙げられている項目です。ガソリンスタンドなどで短時間で調整できるので、査定の前に見ておいて損はありません。
もっと詳しく比較したい方は 車買取サイト比較 もどうぞ。
まとめ
タイヤは、売る前に自分の目で確かめられる数少ない部分です。残り溝には1.6mm以上という下限が保安基準で定められており、スリップサイン(ウエア・インジケータ)で判定できます。ひび割れ、偏摩耗、空気圧もあわせて見ておきましょう。
売るためだけの新品交換は慎重に、ただし安全に関わる状態なら先に対処を。そして気づいたことは、そのまま査定士に伝える。この三つを押さえておけば、タイヤのことで慌てずに査定日を迎えられます。
※記載の基準・条件は2026年9月時点で各公式サイトに掲載されていた内容です。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
本記事は各サービス公式サイトの公表情報にもとづいて作成しています。内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。売却額・査定額・連絡回数などの結果を保証するものではありません。


コメント
コメント一覧 (1件)
[…] あわせて、ガラス上部のぼかし帯や車検ステッカーの位置、社外品のバイザーやドライブレコーダーの取り付け跡も見ておくと、当日の説明がスムーズになります。同じ「売る前の状態確認」という意味では、車を売る前にタイヤの状態を確認する手順もあわせて済ませておくと効率的です。 […]